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【平成30年度】同報無線による森町病院からのお知らせ


平成31年3月のお知らせ

放送日:平成31年3月15日
担当者:院長 中村昌樹


 おはようございます。森町病院院長の中村です。本日は、健康寿命についてお話します。
 国が定めた国民の健康増進を図るための基本方針、「健康日本21」では、健康寿命を、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定めています。しかしながら、健康上の問題を、どのようにとらえるかが、各個人によって異なることが問題となります。先月の同報無線で、健康の定義についてお話ししました。WHOの定義によると、健康とは、「単に疾患がないとか虚弱でない状態ではなく、身体的・心理的・社会的に完全によい状態」ということになりますが、この定義によると、実際にはほとんどの人が不健康ということになってしまいます。そこで最近では、健康とは「社会的・身体的・感情的問題に直面したときに適応し、なんとかやりくりする能力」というように再定義しなおそうという動きがあることをお伝えしました。実際に、高齢化に伴い体のあちこちが痛くなったり、若いころのように動けなくなったりすることはよくあることです。それを不健康ととらえ、ますます活動性が落ちる人もいれば、前向きにとらえて、自分なりの生活を活動的に続けることができる人もいます。そのように、生活に向かう姿勢は人それぞれです。実際に、着替えや食事、入浴などの日常生活動作が自分だけではできなくなった時には何らかの介護が必要となります。そのような状態は、不健康ととらえることが一般的です。しかしながら、介護が必要となる要因の多くは、何らかの疾患です。そして多くの疾患が、早期発見、早期治療によってコントロールできる時代になりました。例えば、糖尿病の場合、重症化すると失明したり、腎不全で透析が必要になったり、心筋梗塞や脳梗塞を合併したりします。でも糖尿病と病名がついたとしても、管理すれば、合併症を予防し、天寿を全うすることもできます。
 医療機関にかかること自体を、健康上の問題で生活が制限されているととらえるべきでしょうか。あるいは、病名がついたことを不健康ととらえるべきでしょうか。むしろ医療を自分の生活の中に組み入れることで疾病を予防し、自分なりの価値観に沿った生活を継続できるようにすることの方が健康的と言えるのではないでしょうか。健康寿命を延ばすためには、主観的な評価だけでなく、客観的な指標も必要です。そのために医療とのつき会い方を考え直すべき時代になったと思います。医療や介護の問題は決して高齢者だけの問題ではなく、それを支える世代にとっても重大な問題となります。病気を重症化させて介護が必要となることをできるだけ避けるように、多くの方に関心をもっていただきたいと思います。

平成31年2月のお知らせ

放送日:平成31年2月15日
担当者:院長 中村昌樹


 おはようございます。森町病院院長の中村です。本日は、健康とは何かについてお話します。
 森町ではこれまで、年に3回、医療、介護関係者や行政職が一堂に会する多職種合同カンファレンスを開催してきました。今年度の年間テーマは、「地域ぐるみの健康づくり」です。そもそも健康とは何かについては、1948年に世界保健機構(WHO)によって、「単に疾患がないとか虚弱でない状態ではなく、身体的・心理的・社会的に完全によい状態」と定義され、公式には未だにこの定義は見直されていません。しかしながら、高齢化が進んだ現代に、果たしてこの定義に当てはまるような、完全に良い状態という人がどれだけいるでしょうか。実際には何らかの問題を抱えながら生活している人が多く、このWHOの定義からすると大多数の人が不健康ということになってしまいます。そのような状況の中、最近になって健康の定義について見直そうという動きが出てきました。オランダの家庭医であるヒューバーらは、健康とは「社会的・身体的・感情的問題に直面したときに適応し、なんとかやりくりする能力」というように定式化することを提唱しています。何とかやりくりする能力とは、自分だけで問題を解決しようという強い自己を前提とするのではなく、医療や介護、あるいは人々の助けを借りてでも問題を解決しようとする姿勢であると述べています。人は年を取るとともに何らかの身体的、心理的、社会的問題に直面することが多くなります。しかしながら、問題があるからといって不健康と言えるのでしょうか。医療という社会システムが構築されたのは、長い人類の歴史からみたらつい最近のことで、まだまだ進化の途中ですが、それでも多くの人々が医療の恩恵を受けられるようにはなってきました。これからの医療は、病気が悪くなってからかかるのではなく、病気にならないように利用することが大切であると、この同報無線でもお伝えしてきましたが、そもそも自分で健康と思っている人も、果たして本当に問題がないのでしょうか。癌は早期には症状はありませんが、少ない負担で治療するためには早期に発見することが大切です。一般的に、問題は早めに対処したほうが、事が大きくなってからより容易に解決できます。車のメインテナンスと同じように、人の体も定期的にチェックすることが大切です。
 医療や介護などの社会システムがさらに進化し、その恩恵が多くの人々に行き渡るようになるためには、地域のつながる力が必要になってきます。当院が人々の健康を支え続けることができるよう、引き続き皆様のご理解とご協力をお願いいたします。

平成31年1月のお知らせ

放送日:平成31年1月15日
担当者:院長 中村昌樹


 明けましておめでとうございます。
今年は亥年、十二支が一回りした最後の年になります。 また、今年は5月からは新しい年号となることが決まっており、今回が平成最後の正月ということになります。一つの時代が終わるということは、新しい時代が始まるということでもあり、これまでの歴史はすべてが新しい時代への準備期間であったともいえます。
 そこで、新年を迎えて、新しい時代の医療がどうあるべきかを考えてみたいと思います。当院はこれまで、生活圏での医療を支える立場から、様々な選択肢を提示してきました。日常的な健康管理を支えるために、家庭医療を、急な病気に対応するために救急医療と急性期入院機能を、また専門的な医療が必要な場合に対応するために専門外来の充実や近隣医療機関との連携を進めてきました。
 急性期医療が安定した後に、積極的なリハビリテーションに取り組める方には回復期リハビリテーション病棟を、それが難しい方や、比較的軽症な急性疾患の方には、生活の場に復帰することを支援する地域包括ケア病棟を提供してきました。また何らかの理由で通院が困難となった方に継続的医療を提供するため、在宅医療にも取り組んでまいりました。時代の変化とともに、人々の多様なニーズに応えるためには、多様な選択肢が必要となります。また、医療だけでは解決困難な問題も多く、介護や行政機関など様々な専門職が連携することも問題解決には必要であり、当院では定期的に多職種が一堂に会するカンファレンスを開催してきました。このように、当院は、医療と介護が行政と連携して一体的に提供できるような仕組み作りに取り組んでまいりましたが、このような仕組みが有効に機能するためには、何よりもそれを利用する患者さんや地域の皆様の協力が必要になります。病気は患者さんにとって、それまでの生活が継続できるかどうかの重大な問題となりますが、問題を解決する主人公はあくまで患者さんご本人です。医療や介護、行政職など専門職は支える立場ですが、患者さん自身が自ら問題を解決しようとする姿勢を持たない限り、支えることはできません。これからの医療は、悪くなってから利用するのではなく、病気にならないよう、あるいは悪くならないように利用することが大切です。当院は、生活者である地域の人々一人一人が自ら健康管理に取り組むことを支援していきたいと考えています。昨年の10月から、当院では深夜帯の救急受け入れを制限してきましたが、救急患者さんの多くが深夜帯以外に受診していただいており、皆様のご協力には心から感謝申し上げます。このことからわかるように、当院もまた地域の皆様に支えられてこれまで歩んでくることができました。当院はこれからも地域とともに作り上げる医療に取り組んでまいりたいと思います。皆様のご理解とご協力をお願いいたします。

平成30年12月のお知らせ

放送日:平成30年12月15日
担当者:院長 中村昌樹


 おはようございます。森町病院院長の中村です。今回は、癌についてのお話をします。
 1970年代までは、日本の死因のトップは脳卒中でしたが、その後脳卒中による死亡者数は減少し、1980年以後は、癌が死因のトップとなっています。このことは、健康に対する人々の意識が向上し、血圧管理が行き届いてきたことで脳卒中が減ったのに対し、平均寿命が延びたことにより、加齢とともに癌の発生率が上昇していることなどが要因と思われます。しかしながら、個々の癌について加齢という要因を取り除いた年齢調整死亡率をみてみると、すい臓癌を除いたほとんどの癌で死亡率が低下していることが示されています。つまり、医学の進歩により、適切な治療を受ければ、多くの癌が治る時代になったということです。
 癌にかかる率、罹患率は、やはり高齢化の進展とともに全体としては増えています。しかしながら、部位別にみると胃癌は男女ともに減少しています。このことは以前に比べて、ピロリ菌の感染者が減っていること、また感染者であってもピロリ菌を除菌することによって癌の発生率を下げることができるようになったことが関係しています。罹患率が増加しているのは、男性で前立腺癌、女性で乳癌と肺癌です。大腸癌は高齢化が進んでも男女ともに横ばいです。このことは、検診で便潜血をチェックするなど、早期に発見し、悪性化する前のポリープの段階で内視鏡的に切除する方が増えたためと思われます。抗癌剤も進歩しましたが、いまだに薬だけで癌を治すことは難しく、延命効果はあるものの高額な薬剤を使い続けることは医療費高騰にもつながります。すなわち、癌に対する適切な治療とは、早期発見早期治療につきます。しかしながら、早期発見のためのシステムが整ってきたにも関わらず、そこにつながっていない患者が多いことが、癌医療の最も大きな問題であると思われます。
 昨年度当院で胃カメラを行った2447件中胃癌が発見された方は15名(0.6%)で、そのうち早期癌は7人、残りの8人の方は進行癌でした。早期癌の患者さんは内視鏡的治療や手術で取り切れば、追加の抗癌剤治療も必要なく完全治癒する可能性が高く、進行がんの場合は、手術や抗癌剤治療を行っても再発の可能性もあり、また治療そのものが困難な段階で見つかる方もいます。以上のことから患者さんにとっても、医療費の点からも早期発見がいかに有効でわるかがわかります。大腸カメラを行った296件中大腸癌が発見された方は23件(7.8%)でした。また55件(18.6%)の方は大腸ポリープを切除することで癌になることを防ぐことができています。
 癌の発生率は50歳代から高くなります。健康維持のためにも毎年必ず検診を受け、異常が指摘された場合は早期に医療機関を受診することをお勧めします。以上、癌を中心とした医療との関わり方についてお話ししました。

平成30年10月のお知らせ

放送日:平成30年10月15日
担当者:院長 中村昌樹


 おはようございます。森町病院院長の中村です。本日は、インフルエンザの予防接種についてお話します。
 公立森町病院と森町家庭医療クリニックでは、本日から今年度のインフルエンザ予防接種の受付を開始します。受付時間は平日の午前8時15分から午後5時までです。予約をご希望の方は、公立森町病院か森町家庭医療クリニックにお問い合わせください。予防接種の実施は、公立森町病院では11月5日から1月28日までの毎週月曜日、森町家庭医療クリニックでは11月1日から1月31日までの月曜日から金曜日に行います。
 インフルエンザワクチンは、毎年そのシーズンに流行することが予測されるウィルスを用いて製造されている為、昨年ワクチン接種を行った方であっても、今年も接種を行うことをお勧めします。例年インフルエンザが流行するのは12月から4月の間であり、できるだけ12月上旬までにワクチン接種を行うことが望ましいと思われます。基礎疾患があり、定期的に病院に通院している方に対しては、医師の判断で診察時に接種を行うこともありますが、これもワクチンがなくなった時点で終了となりますのでご注意ください。
 インフルエンザは、普通の風邪と違って、発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛などの全身症状が現れ、小児ではまれに脳症を、高齢者や免疫力の低下している方では肺炎を合併するなど重症化することもあり、予防を心掛けることが大切です。ワクチンはインフルエンザの発症を完全に阻止することはできませんが、重症化を防ぐ効果は証明されています。ワクチン以外にも、手洗いやうがい、部屋の湿度を保つこと、また十分な休養とバランスの取れた栄養摂取を心掛けることもインフルエンザの予防には効果的です。
 最後に当院のリハビリテーション科からのお知らせです。当院では地域の皆様の健康づくりを支えるため、定期的に明日の森クラブを開催しています。次回は、11月16日金曜日の18時30分から20時の予定で、テーマは「糖尿病予防と正しい運動」です。糖尿病予防に対する正しい運動を、講義、実践を交えてわかりやすくお伝えします。どなたでも参加できますので、参加希望の方は当院リハビリテーション科受付にお問い合わせください。
 これからの森町にとっては、病気になってから病院にかかるのではなく、病気にならないよう日頃から医療と付き合うことが大切です。地域の皆様のご理解とご協力をお願いいたします。

平成30年9月のお知らせ

放送日:平成30年9月15日
担当者:院長 中村昌樹


 おはようございます。森町病院院長の中村です。本日は、先月に引き続き、当院の救急医療体制についてお話します。
 先月の同報無線や広報森町でもお伝えしたように、10月1日から当院では、夜の22時から翌朝の6時までの救急業務を行わなくなります。その代わり、17時から22時までの時間帯は、放射線技師や検査技師を病院に常駐させることで、その時間帯の救急業務をより充実させることとしました。したがって、救急受診を希望される方は、22時までに受診するようお願いします。22時以降で緊急性を要する場合は、直接磐田市立総合病院か中東遠総合医療センターの二つの救命救急センターのどちらかを受診していただくことになります。しかしながら、緊急性がない場合はできるだけ翌日の時間内に受診されることをお勧めします。本来救命救急センターは緊急性を要する患者に対応する役割であり、軽症患者が集中するとその機能を発揮することが困難となります。救急受診すべきかどうか迷う場合は、まずは当院に電話で相談してください。
 これまで森町を含めた中東遠2次医療圏では、病院同士の機能分化と連携を進めてまいりました。その結果、当院は2つの救命救急センターのバックアップを受けることができるようになりました。当院が今回のような体制に変更ができるのも、病院同士の機能分化と連携を進めてきた結果であり、医療を含めた社会保障制度も新たな段階に進まなければならない時期に来ていることからも正しい方向性であると考えます。
 また、最近は様々な基礎疾患を持つ高齢者が増え、抗凝固剤などを内服している方も増えてきています。そのような患者さんは、転倒転落などで頭蓋内出血を起こす危険性も高く、2013年の統計では、家庭内の転倒転落事故の死亡者数は7766人で、交通事故の死亡者数6060人を上回っています。したがって救急外来の現場では、画像診断は必須の検査になってきています。しかしながら、当院のような中小病院では365日24時間体制で放射線技師を常駐させることは困難です。そのため時間を限定することで救急医療体制をより充実させ、深夜帯は救命救急センターと連携することで、地域の安心安全を守る方針としました。
 また慢性疾患などで当院に定期的にかかっている方に対しては、深夜帯であっても入院対応で受け入れる場合もあります。このことは、ある程度治療方針が決まっている患者さんが、他の医療機関を受診することで、一からやり直すことは、患者さんにとっても、医療者にとっても、医療経済的にも過剰な負担と思われるためです。このような事態を防ぐためにも日ごろからかかりつけ医との間で、ご本人の医療に対する希望を明確にしておくことも大切です。
 医療は患者さんと医療者が協力することで達成できるものです。今後とも地域の皆様のご理解とご協力をお願いいたします。

平成30年8月のお知らせ

放送日:平成30年8月15日
担当者:院長 中村昌樹


 おはようございます。森町病院院長の中村です。本日は、当院の救急医療体制の変更についてお話します。
 当院は、これまで24時間365日救急患者を受け入れてまいりました。しかしながら、今年の10月1日から、夜の22時から翌朝の6時までの深夜帯は、当院の救急業務は行わないこととなりました。現在もその時間帯は当院の入り口にはかぎが掛かっていますが、10月以降は深夜帯に直接病院に来ても、受け付けることはできませんのでご注意ください。
 このことについては、今年の6月に当院に対して労働基準監督署の指導があり、救急患者を恒常的に受け入れている状況では、これまで当直としてきた医師の業務は、今後は当直ではなく労働時間とみなされるとの判断が下されたことがきっかけとなっています。
 現在日本では働き方改革が求められ、これまで医師については、あいまいだった労働法制上の労働時間についても明確化することが求められていることが、今回の労働基準監督署の指導の背景にあるものと思われます。本来当直は、恒常的に業務を行わせてはならないこととなっています。夕方5時から翌朝8時15分までの17時間15分をすべて労働時間とするならば、法令で定められた医師の労働時間を守ることが困難となり、これまで行ってきた病院業務が継続できないことになってしまいます。一方地域の安心安全を医療の立場から支えるために建てられた当院にとって、救急対応は極めて重要な役割であります。そこで、当院は労働基準監督署と協議した結果、22時までと朝の6時以降はこれまで通り救急患者を受け入れ、22時から翌朝6時までは、医師の睡眠時間確保のための休憩時間とするという変形労働制で対応することとしました。
 現在当院の常勤医師は10名であり、医師の高齢化も進んでいます。当院にとって医師の健康を守ることも地域医療の継続にとって重要な課題となっていました。そのため当院は、昨年秋から、この同報無線などを通して、できるだけ深夜帯の救急受診は控えるよう呼び掛けてまいりました。その結果森町住民の深夜帯受診者数は減少していますが、それでもまだ深夜帯受診者の6割は森町住民であり、残念ながら近隣市町からの深夜帯受診者は減っていません。そのため、当直医師はほとんど夜間の睡眠をとれず、そのまま翌日の業務に従事しなければならない状態が続いてきました。実際に深夜帯に受診する患者の8割は緊急性がないものと思われ、通常の時間内に受診することが望ましいものと思われます。また当直時間帯は、救急受診したとしても画像診断や検査などが不十分な体制での診療となります。そこで当院では、今回の救急体制の変更に際して、これまで時間外は検査や放射線技師等は呼び出し体制だったところを、22時までは検査技師等も病院に常駐する体制に変更し、救急医療の質の向上を図ることとしました。したがって、当院への時間外受診を希望される方は、22時までに受診するようにしてください。
 22時から6時までは他院を受診していただくことになりますが、当院にとって幸いなことに、当院から救急車で30分以内の範囲に磐田市立総合病院と中東遠総合医療センターという2つの救命救急センターのバックアップ体制があります。したがって深夜帯受診を希望される方は救急車を含め、そちらの救急センターの受診をお勧めします。ただし、当院や森町家庭医療クリニックに定期的に受診している患者さんについては、当院にカルテ記録もあり、病状もある程度把握することが可能なことから、深夜帯でも看護師による電話相談には応じ、場合によっては深夜でも入院対応で受け入れます。当院や森町家庭医療クリニックにかかりつけでない方は、深夜帯は他院を受診していただくことになります。
 いずれにせよ、これからの医療は、重症化してから受診するのではなく、病状が悪化しないようにすることが大切です。かかりつけ医を持ち、日常の健康管理を心掛け、不必要な救急受診を避けることで、地域医療体制が継続できるよう、皆様のご理解とご協力をお願いします。
 繰り返しますが、救急体制の変更は、本年10月1日からとなります。それ以降は、当院では、深夜の22時から朝の6時までは外来患者を受け付けませんのでご注意ください。

平成30年6月のお知らせ

放送日:平成30年6月15日
担当者:院長 中村昌樹


 おはようございます。森町病院院長の中村です。本日は、先月に引き続き、医療との関わり方についてお話します。
 公立森町病院は、地域包括ケアシステムの中心的役割を果たすことを目指し、その活動の一環として、地域包括支援センターとの共催で、年に3回多職種合同カンファレンスを開催しています。これは、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、在宅医療コーディネーター、ケアマネージャー、介護職、役場の職員や民生委員、さらに森町病院友の会の方々など、立場の違う者同士が一堂に会して、年間テーマを決めてグループディスカッションなどを行い、多職種のスムーズな連携を目指すものです。今年の年間テーマは、「地域ぐるみの健康づくり」です。今年、このテーマを選んだ背景には、市町別お達者度で、森町は平成24年度には男女ともに1位であったものが、平成25年度には男女とも2位となり、最新の平成26年度では女性は再び1位となったものの、男性は6位と低下してしまったことがあります。お達者度とは、静岡県が独自に算出している健康寿命の指標ですが、65歳から介護度2以上とならずに過ごせる期間を表すもので、他の市町では、男女ともに少しずつこの数値が伸びてきていますが、森町では男性が、平成24年度をピークに25年、26年と低下してきています。順位よりも実際の数値が低下していることに注目すべきであります。森町が常に上位に位置するからと言って、決して油断することはできません。今後高齢化が進むことで、医療費だけでなく、介護費用の負担が町の財政を圧迫することになります。そのため、各市町ではお達者度を延ばすよう様々な取り組みを行っています。
 当院は、医療の立場から人々の健康を支える役割ですが、先月もお話したように、これからの医療は、悪くなってからかかるというよりも、病気にならないように、あるいは病気を重症化させないようにうまく使うべきです。重症化してからの医療は、たとえ救命できたとしても、後遺症を残したり、身体機能の低下を引き起こしたりして、介護者の負担が増大するばかりでなく、ご本人の生活も制限されることになります。いつまでも楽しく過ごすためには、やはり定期的に検診を受け、かかりつけ医と相談しながら、ご自分に適した健康管理を行うべきです。男性のお達者度が低下していることから、年に1度は腹部エコー検査や、心臓エコー検査を受けることをお勧めします。エコー検査は、放射線の被ばくを受けることなく、痛みもなく手軽に受けられる検査ですが、そこから得られる情報は、かなり多くのものがあります。心疾患は症状が出る前から治療すれば負担も軽く済みます。最近は脂肪肝から肝臓癌になる人も増えています。腹部大動脈瘤も中年以降の男性に多く、ひとたび破裂すると救命率は極めて低くなります。これらの病気は、腹部エコー検査を行うことで早期に発見することができます。エコー検査をご希望の方は、森町家庭医療センターか当院にお問い合わせください。地域ぐるみの健康づくりのために皆様のご協力をよろしくお願いいたします。

平成30年5月のお知らせ

放送日:平成30年5月15日
担当者:院長 中村昌樹


 おはようございます。森町病院院長の中村です。本日は適切な医療機関へのかかり方についてお話します。
 昨年度の森町病院の外来患者数は、60060人でした。そのうち初診患者数は10777人で前年度に比べ1.7%増加、再診患者数は55759人で4.5%の減少でした。一方森町家庭医療クリニックの患者数は、初診患者数は2191人で5.9%増加し、再診患者数は10164人で1.1%減少しています。
 森町家庭医療クリニックも開設してから6年半が経過しました。これまでもこの同報無線などを通じて、何科に受診したらよいかわからない場合や、比較的軽症の場合は、まずは家庭医療クリニックを受診するよう呼び掛けてまいりました。家庭医は、年齢、性別、科別、臓器別にかかわらず、すべての疾患に対応する専門医であり、より専門性を要すると判断した場合は、必要に応じて当院や、より高次の病院に紹介します。一方科別の専門性を要する患者や救急患者は当院で受け入れています。このような医療機能の分化と連携により、患者さんにとっては、多くの診療科を受診する必要がなくなり、重複投薬や過剰な投薬を防ぐこともできます。このことは医療費の削減にもつながります。当院で再診の患者数が減っていることは、家庭医療クリニックを受診することで、複数の科を受診する患者さんが減ったことが最も大きな原因と思われます。また当院と森町家庭医療クリニックを受診する患者さんの74.6%は森町の住民であり、森町の患者数が年々減少しているのに対して、他の市町からの受診者数は減っていません。このことは、森町の人口が減っていることとも関係しますが、森町住民が自発的に健康管理に取り組むようになった結果とも思われます。
 しかしながら、平成29年度の時間外患者数は、結果として前年度に比べ5%増加し、深夜帯の受診者も7%増加しています。昨年度の夜10時から朝6時までの深夜帯受診者は525人でしたが、これらの患者さんの内、軽症でも何らかの緊急性を要すると思われる患者さんの比率は約20%であり、残りの約80%は、特に緊急性を要さないと判断されるものでした。これらの患者さんは、病院の診療体制が整っている時間内に受診していただいた方が、より適切な医療を受けられるものと思われ、我々医療者だけでなく、患者さんにとっても夜間の受診は過剰な負担となります。
 これからの医療は、疾患が重症化してから対応するよりも、より早期発見や重症化の予防に重点を置くべきであり、そのためには日頃から検診を受け、何らかの異常が指摘された場合は、早めに医療機関を受診し、かかりつけ医の適切な指導の下で管理を行うことが大切です。認知症の発症は血圧や血糖、コレステロール等を管理することで予防効果が期待できます。発症してからでは治療は困難となります。また、癌は初期には無症状ですが、検診で早期に発見すれば、多くの癌は治る時代になりました。重症化してからの治療は患者さんにとって多くの負担がかかります。まずはより負担の少ない治療で済むようにすることが家庭医療クリニックや当院の役割であると考えます。
 当院はこれからも地域の安心安全のために救急医療体制は維持していきたいと考えていますが、重症化してから救急受診するよりも日頃からの健康管理の方がより重要であることを地域の皆様に十分ご理解いただきたいと思います。夜間受診すべきかどうか迷う場合は、まずは当院に電話でご相談ください。地域医療提供体制の維持のためにも、皆様のご理解とご協力をお願いいたします。