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【令和元年度】同報無線による森町病院からのお知らせ


令和2年3月のお知らせ

放送日:令和2年3月15日
担当者:院長 中村昌樹


 おはようございます。本日は、今問題になっている新型コロナウィルスへの対応についてお話します。
 コロナウィルスは、これまでかぜのウィルス4種類と重症呼吸器症候群(SARS)ウィルス、中東呼吸器症候群MERS)ウィルスの、合わせて6種類が知られていました。今回の新型コロナウィルスは、これらと異なる7種類目のウィルスであり、主に呼吸器感染を起こし、病原性はSARSやMERSより低いレベルと考えられています。昨年12月に中国武漢から始まり、現在世界中に広がりつつあります。国内では、北海道、愛知県、大阪府、東京都、神奈川県の順で多くの感染者が確認されています。静岡県内では、クルーズ船の乗客1名の感染が確認されていましたが、3月10日にこの中東遠圏域で新たに1名の患者が確認されました。この2例目の感染者は、神奈川県在住で、静岡県に移動する前に発症し、県内に移動してから3日後に症状が悪化したため医療機関に搬送されました。また、さらに3月12日、静岡市でエジプトツアーに参加した60代女性の感染が確認され、合わせて3人の感染が認められたことになります。このように、今後も人々の移動があることから、県内でもいつ新たな感染が発生するかはわからない状況です。
 現在、新型コロナウィルス感染症についてわかっていることは、感染経路は、飛び散ったつばなどを吸い込むことで起こる飛沫感染と、ウィルスがついたものを触り、さらにその手で目や口などの粘膜に接触することでおこる接触感染です。一部の特定の人から感染が拡大したと考えられる事例がある一方で、多くの感染者は周囲の人にほとんど感染させていません。発熱や呼吸器症状が1週間前後持続し、強い倦怠感を訴えることが多いようです。中には感染しても軽症であったり、治癒したりする例も多い一方、高齢者や基礎疾患のある方が重症化しやすいと言われています。
 現在特に県内では、いかに感染を拡大させないかに取り組むべき段階です。その点で、第一に考えなければいけないことは、自分自身が感染拡大の元とならないことです。今のところ発症初期の段階では、通常のかぜかインフルエンザかコロナウィルス感染症かを見極めるのは極めて困難です。病院を受診する際には、なるべくマスクを着用してください。そして、まずは熱や咳や強い倦怠感などの症状がある場合は、とにかく休むこと、人と接触することを避けることが大切です。これはコロナウィルスに限らず、すべての感染症に言えることです。責任感が強い方は、多少の熱ぐらいで休んではいけないと思うかもしれませんが、むしろ周りに感染を広げることの責任の方が重いと思うべきです。同時に、職場の理解も必要です。職場の管理者も、必要な時に従業員を休ませることが、職場を守ることになることを理解してほしいと思います。
 マスクと手洗い、うがいは、感染予防のために極めて重要です。当院では、発熱や呼吸器症状で受診する方で、マスクが手に入らない方にはマスクを提供します。しかしながら、すべての人にマスクを供給するのは難しい状況です。当院を発熱等で受診する際は、できるだけ、前もって電話で相談してください。必要に応じて、他院の帰国者、接触者外来にも紹介します。今のところ新型コロナウィルス感染症は、指定感染症とされており、コロナウィルス感染症と診断された場合は、指定病院に紹介することになります。
 人類はこれまで感染症や災害など数多くの問題を乗り越えてきました。今回の問題を契機に、社会がさらにより良い方向に向かうことを期待します。皆様のご理解とご協力をお願いいたします。

令和2年2月のお知らせ

放送日:令和2年2月15日
担当者:院長 中村昌樹


 おはようございます。森町病院院長の中村です。本日は、静岡家庭医養成プログラムと森町家庭医療クリニックのこれまでの歩みについてお話します。
 今月の1日に、掛川市のつま恋で、静岡家庭医養成協議会設立10周年記念式典が開催されました。当日のミシガン大学家庭医療科教授のマイク・フェターズ先生の記念講演では、これまでの振り返りと未来への展望が語られました。また浜松医大学長の今野弘之先生、日本プライマリケア連合学会前理事の丸山泉先生、静岡県理事の鶴田憲一先生にご祝辞をいただき、どの先生方も、当協議会の家庭医養成プログラムが、国内でもトップクラスのものに育ったことを高く評価してくださいました。
 静岡家庭医養成プログラムの第1の特徴は、磐田市、菊川市、森町のそれぞれの行政と自治体病院が協力して立ち上げたことが挙げられます。そして後に御前崎市と市立御前崎総合病院が加わり、また中東遠総合医療センターが専門領域の研修に加わったことで、2次医療圏の公立病院すべてがつながりました。このように行政と各市町の公立病院が連携協力して立ち上げたプログラムは他にはありません。また、設立当初から、アメリカのミシガン大学、そして静岡県のバックアップを受け、後に浜松医大に、産婦人科家庭医療学講座、地域家庭医療学講座が設置されました。そして、家庭医のような総合的診療能力を持つ専門医が、19番目の専門領域として制度化されました。その専門医としての正式名称は総合診療医となり、静岡家庭医養成プログラムも浜松医大総合診療医プログラムに進化しています。
 また、当プログラムの2番目の特徴は、産婦人科も含めた全科診療に対応していることです。この点でも国内でも珍しいプログラムといえます。森町家庭医療クリニックでは妊婦検診も行っており、安心して子供を産み育てることができる町づくりに貢献しています。
 人々が安心して生活できる町づくりのためには、子供からお年寄りまで、家族を構成するすべての年齢層を対象とする家庭医・総合診療医が日ごろの健康管理や在宅医療を担当し、救急医療や入院医療、回復期リハビリテーション医療を森町病院が担い、さらに高次の医療を磐田市立総合病院と中東遠総合医療センターがバックアップするという現在の3階建ての医療提供体制が、今のところ最も理想に近い形であると考えています。
 しかしながら、特に若い世代に、いまだに家庭医療クリニックの役割が知れ渡っていないように思います。医療は限られた社会資源です。それを有効に利用することで、すべての人々に医療の恩恵がいきわたることを願っています。当院はこれからも地域に情報発信を続けてまいります。皆様のご理解とご協力をお願いいたします。

令和2年1月のお知らせ

放送日:令和2年1月15日
担当者:院長 中村昌樹


 明けましておめでとうございます。今年は子年、十二支では最初の干支になります。また今年の正月は、令和になって初めての正月です。いよいよ新しい時代に向かって歩みだすべき年と言えるのではないでしょうか。
 当院はこれまで、地域包括ケアシステム構築の中心的役割を担うことをめざし、介護施設や行政機関、さらに地域住民との連携を進めてきました。同時に、近隣の医療機関との機能分化と連携を進め、急性期だけでなく、医療の場から生活の場につなげる回復期医療、さらに在宅医療にも取り組んできました。そして家族ぐるみのかかりつけ医機能を担う家庭医の育成にも取り組んでまいりました。このような医療は、これからもますます地域に必要とされると思われ、今後も当院の方向性が変わることはありません。
 しかしながら、これまでの当院の取り組みは、どちらかというと高齢者医療に重点が置かれてきました。このことは、森町の高齢化が進んでいることが差し迫った課題であったためです。森町では、多職種連携のシステムはある程度構築されました。しかしながら今後さらに必要となるのは、高齢者だけでなく、働く世代や若い世代への支援であると思われます。
 家庭医というのは、家族全体を対象とすることからそのような呼び名になっています。家庭は、赤ちゃんからお年寄りまで、あらゆる年齢層や発達段階の人たち、あるいはさまざまな健康レベルの方々によって構成されます。森町家庭医療クリニックは、産婦人科専門医と連携して妊婦検診も行っています。そして現在森町では、家庭医が在宅医療の主たる担い手になっています。まさに子宮から墓場までの医療を実践しています。今後は全世代型の地域包括ケアシステムを構築の中心的役割を家庭医が担っていくことが期待されます。森町病院は、各科別の専門性や救急医療、あるいは入院対応で家庭医をバックアップします。そして、さらに近隣の高次医療機関が当院をバックアップしています。現状では、このような3階建ての医療提供体制が、地域の必要に応えるのに相応しい形であると思われます。
 しかしながら、地域包括ケアシステムはあくまでも住民が主体です。小児や高齢者はある程度依存的にならざるを得ないと思いますが、働く世代や子育て世代こそ自ら取り組む姿勢が必要です。残念ながら、若い世代ほど医療に関心がないように思われます。
 先日、森町家庭医療クリニック主催で、テレビのコメンテーターも務めているスタジオエルの山崎亮氏をお招きして、「子育てを安心して楽しめるまちづくりワークショップ」を開催しました。多くの子育て世代の方が参加していただいたことは大変うれしく思います。今後も当院と森町家庭医療クリニックは、このような機会を設けて情報発信をしてまいります。すべての世代の共有の社会資本である地域を守るために何が必要かを共に考えていきたいと思います。地域の皆様のご理解とご協力をお願いして新年の挨拶とさせていただきます。今年もよろしくお願いいたします。

令和元年12月のお知らせ

放送日:令和元年12月15日
担当者:院長 中村昌樹


 おはようございます。森町病院院長の中村です.本日は、フレイルという概念についてお話します。
 フレイルとは、高齢期に生理的予備能が低下することで、ストレスに対応する力が弱くなり、不健康を引き起こしやすい状態とされています。簡単に言えば、加齢により心身が衰えた状態のことです。フレイルは、英語のフレイリティが語源となっていますが、日本語に訳すと虚弱ということになります。フレイルが進行すると機能障害といわれる状態となり、それまでの自立した生活を維持することが困難となります。その場合は介護保険などの社会的サービスが必要となります。フレイルは、身体的、精神心理的、社会的な側面を含む多面的で包括的な概念です。身体的には、食べる、話すなどの口腔機能の低下や低栄養、運動機能の低下などがあります。精神心理面では、認知機能の低下やうつ状態、社会的には引きこもりや孤立という側面があり、それぞれが互いに関連しあって悪循環を形成しやすくなります。しかしながら、フレイルの段階で、より早く介入して対策を行えば、元の健康な状態に戻る可能性が高くなります。
 フレイルの目安としては、体重減少、疲れやすい、歩く速さが遅くなる、握力が落ちる、活動量が低下するなどがあります。そのような兆候が見られたらフレイルの可能性があります。フレイルの段階であれば、適切な診断と治療、栄養管理やリハビリなど、専門職が介入することで改善する可能性が高く、放置すれば元に戻らない機能障害を引き起こします。したがって、フレイルの兆候が見られたら、より早く医療との関わりを持つことをお勧めします。
 さらに、フレイルの前段階として、プレフレイルという概念もあります。この段階であれば、ある程度自助努力で栄養管理や運動を行うことで、改善する可能性もあるかもしれません。森町では、森のこかげ、100サロンや運動教室、ノルディックウォーキング、オレンジカフェなど、その他にも様々な集いの場が設けられています。そのような場に積極的に参加することも、フレイルを予防するためには有効と思われます。
 今年1年間、この同報無線を通じて、早期発見、早期治療の重要性をお伝えしてきました。悪化して元に戻らない状態になる前に、医療と適切な関りを持つことをお勧めして、令和元年の最後の同報無線を終わります。よいお年をお迎えください。

令和元年10月のお知らせ

放送日:令和元年10月15日
担当者:院長 中村昌樹


 おはようございます。森町病院院長の中村です。本日は、先日新聞報道された、厚生労働省発表の、公立・公的医療機関等の診療実績データ分析結果についてお話します。
 先日の新聞報道をみられた方は、森町病院も統合・再編の検討対象病院のひとつにあげられていたことで、病院がなくなってしまうのではないかと心配されている方もおられるのではないかと思います。しかしながら、決してそのようなことにはなりませんのでご安心ください。
 今回の厚生労働省の発表では、全国424病院、静岡県では、14病院が統合あるいは再編を検討すべき病院として挙げられており、その中に、この中東遠地域では、当院と菊川市立総合病院、市立御前崎総合病院がありました。このような発表の背景には、国が進めようとしている地域医療構想が、全国的になかなか進んでいないという現状があります。地域医療構想とは、病院の役割を、高度急性期、急性期、回復期、慢性期に分けて、2次医療圏ごとに関係者間で話し合いを持ち、将来の必要病床数に見合うように調整していこうというものです。これは、今後さらに高齢化が進む日本の医療提供体制を持続可能なものとするために、地域包括ケアシステムの構築と同時に車の両輪として進めていこうというものです。
 当院においては、森町がすでに日本の10年先の高齢化を先取りしていることから、平成20年度から外部の有識者を招いた外部評価委員会を立ち上げ、公立森町病院改革プランを作成し、1年に1回診療実績に基づいた見直しを繰り返してきました。現在第4次改革プランを進めています。また中東遠地域の関係者が、一堂に会する地域医療調整会議でも合意を得てきました。その結果、当院だけでなくこの中東遠地域は、全国のお手本となるような病院同士の機能分化と連携が進んでいる地域となりました。
 今回検討対象となった病院は、高度急性期あるいは急性期を標榜している病院です。改革を進める中で、当院は急性期を縮小し、回復期機能の病床に転換してきました。国が今回指標としたのは、医療圏の中で、どれだけ多くの急性期患者を診ているかとう点です。改革の結果、中東遠地域では、急性期は磐田市立総合病院や中東遠総合医療センターに集約され、当院や菊川市立総合病院、市立御前崎総合病院は当然急性期患者の割合は少なくなっています。国は全国一律の指標を当てはめるしかありません。その不完全さを補完するのが地域の実情を踏まえた地域医療調整会議です。これまで、県も大学関係者も含め、中東遠地域は問題ないとされてきました。特に森町は、地域包括ケアシステムの先進地として注目されてきました。今後は、県と協力して国と対話し、地域住民にとって必要な医療をこれまで通り継続していきたいと考えています。そのためには、森町そのものが自治体として存続することが何より大切です。当院は、医療の立場からこれからも森町を支えていきたいと考えていますので、地域の皆様のご理解とご協力をお願いします。

令和元年9月のお知らせ

放送日:令和元年9月15日
担当者:院長 中村昌樹


 おはようございます。森町病院院長の中村です.本日は、地域包括ケアシステムと医療との関係についてお話します。
 地域包括ケアシステムは、高齢になっても、住み慣れた地域や自宅で最期まで住み続けることができるよう住まい、医療、介護、予防、生活支援のサービスが一体的に提供できる仕組みとされています。少子高齢化に対応するため、国が進める政策の柱であり、地域の特性に応じて作り上げていくことが求められています。その目指すところは、地域福祉の理念そのものです。地域福祉とは、住み慣れた地域社会の中で、家族や近隣の人々、知人、友人などとの社会関係を保ち、自らの能力を最大限発揮し、だれもが自分らしく誇りを持って、家族および地域社会の一員として普通の生活、暮らしを送ることができるような状態を創っていくことされています。地域とは、生活の場であると同時に、さまざまな問題が発生する場であり、同時に問題を解決することができる場でもあります。また、そこに住む人々も含め、社会資源の宝庫でもあり、その持てる力を結集して、地域で発生する問題を解決することにより地域は育っていきます。あくまでもその取り組みは、地域の自主性を尊重するものとされています。その地域の取組を、医療や介護などの専門職が支える仕組みが、すなわち地域包括ケアシステムです。これまで地域包括ケアシステムは、高齢者のみを対象としていましたが、最近は、子育て支援も含め、全世代が住みやすい地域をつくることにその概念が変化しています。家族ぐるみの健康管理をめざす家庭医療は、まさにその理念と一致した専門分野です。当院は、全世代が住みやすい森町となるよう医療の立場から取り組んでまいりたいと考えています。しかしながら、その仕組みは、住民一人一人の自助努力と地域で支えあう互助の仕組みがあってこそ成り立ちます。病気とは、その人の生活が継続できるかどうかの重大な問題です。そして、その発生には、体質などの遺伝的要因とストレスなどの環境的要因、そして個人の生活習慣に関連した要因の3つが関与します。つまり個人の努力だけでは必ずしも解決できない問題も多くあります。近年生活習慣病という言葉が浸透したことで、病気についても、自己責任重視に偏りすぎたという意見もあります。これからの健康管理は、自己の努力を基本としながらも、社会資源の一つである医療とどう付き合うかが重要です。これまでも繰り返し述べてきましたが、これからの医療は、病気が悪くなってからかかるのではなく、悪くならないようにかかることが大切です。ぜひとも地域の皆様のご理解とご協力をお願いいたします。

令和元年8月のお知らせ

放送日:令和元年年8月15日
担当者:院長 中村昌樹


 おはようございます。森町病院院長の中村です。本日は、がんについてお話します。
 今や日本人の二人に一人が、がんになる時代と言われています。がんについて正しくしることは、人々が予防や治療に正しく取り組むためには必要なことです。最近の研究で、がん発生のメカニズムは、かなりの部分が解明され、それに伴って治療も格段の進歩を遂げています。早期に発見し、正しく治療すれば、がんは治る病気になってきました。決して不治の病ではなくなっています。しかしながら、治療が困難な段階まで放置しておけば、やはりがんによって命を落とすことになります。がんは多くの場合、進行するまで症状が出ません。そのため、定期的に医療とかかわりを持つことが、早期発見には何よりも大切になります。がんにならないよう予防ができれば理想的です。現在、喫煙、飲酒、運動不足、肥満、やせ、野菜・果物の摂取不足、塩分摂取などががんと関連があるとされ、生活習慣を改善することは、がんの予防には有効であることは証明されています。しかしながら、生活習慣を改善すれば、がんにならないということではありません。人は誰でも年を取ります。加齢もがんになる大きな要因です。ある程度の年齢になったら、かかりつけ医を持ち、定期的に医療と関りを持つことをお勧めします。一方若くて生活習慣上のリスクがなくても、稀ではありますががんになることはあります。若い方は日ごろから医療とのかかわりが少ないため発見が遅れやすい点や、治療を受けながら学業や仕事を継続しなければならないという点で、難しい問題があります。若い方も定期的に検診を受けることをお勧めします。治療は進歩していますので、がんを抱えながら仕事を継続する方も増えています。そのような点から、地域や職場の理解も必要となります。
 これからの医療は、地域ぐるみの健康づくりが大切になります。働き方改革といわれる現在、仕事だけでなく自らの健康づくりのために運動習慣をもつなど、生活自体を見直すことが必要です。医療についても悪くなってからかかるのではなく、悪くならないように利用することが大切です。そのために、当院がこれまで築いてきた医療提供体制をうまく使っていただくことを期待しています。
 森町は、少子高齢化や人口減少などの問題を抱えた、日本の未来の姿を先取りした町です。それだからこそ、古い固定観念に縛られず、未来のあるべき姿に向かおうとする姿勢が求められます。当院は、これからも地域ぐるみの健康づくりを支えていきたいと思っています。地域の皆様のご協力とご理解をお願いいたします。

令和元年7月のお知らせ

放送日:令和元年7月15日
担当者:院長 中村昌樹


 おはようございます。森町病院院長の中村です。本日は、運動器の疾患についてお話します。
 皆さんは、ロコモまたはロコモティブシンドロームという言葉を聞いたことがあるでしょうか。ロコモとは、運動を表す英語のロコモティブから名付けられた運動器疾患の総称であるロコモティブシンドロームを短くした呼び方です。ロコモティブシンドロームとは、骨や関節、筋肉など運動器の衰えが原因で、「立つ」「歩く」といった機能、すなわち移動機能が低下している状態のことを言います。この移動機能が低下することで、日常の活動性が低下し、さらに内蔵の病気や認知症の発症にもつながってきます。したがって、健康寿命を延ばすためには、ロコモティブシンドロームを予防することが、極めて重要と思われ、日本整形外科学会を中心として、ロコモティブシンドロームに対する一般住民の意識を高めるため、「ロコモ」という言葉を広げていく運動を展開しています。
 先日、当院主催の住民向け講座で、浜松医大整形外科教授の松山幸弘先生をお招きした際に、参加者の中で、ロコモという言葉を聞いたことがあるという方は残念ながらごく僅かでした。一方メタボリックシンドロームを短くした、「メタボ」という言葉は、多くの方がご存じでした。言葉は人々の意識を変える力を持ちます。そこで、今回は、ぜひとも多くの皆様に「ロコモ」という言葉を覚えていただきたいと思います。厚生労働省が発表した、2016年の国民生活基礎調査によると、要支援・要介護の原因となった疾患は、運動器の障害が24.6%と最も多く、次いで認知症が18%、脳血管疾患が16.6%という順番でした。メタボを予防することで、脳血管疾患や心筋梗塞の予防につながるように、ロコモを予防することは、いつまでも元気で自分らしい生活を続けるためには必要なことです。そのために何よりも大切なのは、運動習慣を身につけることです。さらに、栄養管理や定期的に医療機関で自分の健康状態をチェックすることも必要です。
 ロコモの原因としては、骨粗鬆症や、関節疾患など以外に、筋肉量が低下するサルコペニアといわれる状態も問題となります。サルコペニアは、病気や栄養状態の悪化など様々な理由で、体を動かす筋肉の量が減り、握力の低下や歩く速度が遅くなったりします。したがって高齢になるほど筋肉を減らさないための運動習慣と栄養管理は大切になります。適切に自己管理するために、まずはご自分の健康状態を知ることが必要です。これからの時代は、悪くなってから病院にかかるのではなく、自分らしく長く生き続けられるよう、予防のために医療と関わることが大切です。今後、「ロコモ」という言葉を人々に浸透させ、予防の意識を持っていただきたいと思っていますので、ぜひとも皆様のご理解とご協力をお願いいたします。

令和元年5月のお知らせ

放送日:令和元年5月15日
担当者:院長 中村昌樹


 おはようございます。森町病院院長の中村です。本日は、当院のMRI検査についてお話します。
 当院では、老朽化したMRIを更新する工事のため、3月末まで、MRI検査が受けられず、地域の皆様にご迷惑をおかけし大変申し訳ありませんでした。しかしながら、4月1日から新しい検査機器が稼働し、以前に比べ、より精度の高い検査が短時間で受けられるようになりました。MRIとは、磁力と電磁波を利用して体内の状態を画像化する検査です。体の断面を画像化する点でCT検査と似ていますが、MRIは放射線を利用しないため、放射線被ばくの心配がないという利点があります。ただし、体内に金属などが埋め込まれている方は、検査が受けられないことがありますのでご注意ください。
 MRIは、撮影の条件を変えることにより、様々な画像が得られるため、CTでは診断できない場合でもより正確な診断が得られることがあります。例えば、初期の脳梗塞はCTでは所見が得られませんが、MRIでは、拡散強調画像という撮影の仕方で、より早期に診断がつくようになりました。また、MRIでは、造影剤を使わずに、血管や胆管などを描出することも可能なため、脳の動脈瘤などを破裂する前に発見することも可能です。また、総胆管結石や胆管癌などを診断するためには、以前は消化管内視鏡を使って、胆管にカテーテルを挿入し、造影剤を注入するERCPという検査が必須でしたが、MRIを使えば、内視鏡や造影剤を使用することなく胆管を描出することが可能となります。また、下肢の血管が狭くなることで、短距離歩行で足が痛くなり、休まなければならなくなるような症状が現れる閉塞性動脈硬化症などもMRアンギオという検査で、造影剤を使用せず診断することも可能となります。MRI検査は苦痛なく受けられ、また造影剤を使用しなくてもよいということは、アレルギーや腎機能障害を防ぐ意味で大きなメリットとなります。
 今回MRI検査機器を更新したことで、これまでの当院の機器で不可能であった検査も可能となり、救急の場合にも対応しやすくなりました。当院のような地域に密着した病院の役割は、より早期に病気を発見し、重症化する前に治療につなげることです。新しい検査機器を活用することで、医療の恩恵が多くの皆様にいきわたることを期待します。
 MRI検査は、特に整形外科領域でその威力を発揮します。今年の6月22日土曜日に、浜松医大整形外科教授の松山幸弘先生をお招きして、森町家庭医療センターにおいて、「背骨が曲がるとロコモになる」というテーマで、一般住民向けの講演会を行います。松山教授は、日本の脊椎外科をリードする先生です。腰痛など気になる症状がある方もない方も、いつまでも健康でいるためにも関心を持っていただきたいテーマです。ぜひ多くの皆様のご参加をお願いいたします。

平成31年4月のお知らせ

放送日:平成31年4月15日
担当者:院長 中村昌樹


 おはようございます。森町病院院長の中村です。本日は、今年度の森町病院の取り組みについてお話します。
 今年度は、5月1日から令和という新しい元号となることが決まりました。当院も、平成という時代に一区切りをつけ、新しい時代の地域医療に取り組んでまいりたいと思います。今年度は、当院が立ち上げに関わった静岡家庭医養成プログラムも、10年目を迎えることになりました。この4月から、当プログラムに新たに5人の若手医師が加わりました。5人というのは、総合診療医養成プログラムとしては、全国で2番目に多い数です。このことから、当プログラムが、全国的にも有数のプログラムに育ったといってよいと思います。これもひとえに地域の皆様のご理解とご協力の賜物と、院長として心から感謝申し上げます。
 当院は、これまで近隣医療機関との連携を進め、総合的な診療を担う家庭医療クリニックを併設しました。そのように、身近な外来機能と敷居の低い入院機能、そしてより専門的な入院機能のバックアップ体制と、3階建ての医療提供体制を構築してきました。今後はさらに、この仕組を効率的に機能させ、継続的に地域の安心を支えることが求められます。そのためには、地域の皆様に適切な医療機関の選択をしていただくことが重要となります。これまでも、この同報無線や、森町病院友の会が開催する地域懇談会などで地域の皆様に医療へのかかり方などをお話してきました。しかしながら、まだまだ疾病の早期発見につながらず、重症化してから受診する方が多いのも事実です。医療も進歩し、過去のものとは見方を変えていかなければなりません。
 新しい時代は、働き方改革がひとつのキーワードになります。働き方改革というのは、単に労働時間を管理することではなく、人々の多様な生活スタイルの合わせた働き方を考えようというものです。また、人生100年時代の到来とも言われています。長い人生を、社会とかかわりながら生きていくためには、健康の維持が何よりも大切になります。企業も従業員の健康管理に留意することが求められます。これまで仕事一辺倒で、医療機関にかかれなかった方も、生活の一部に健康管理を取り入れてみてはいかがでしょう。できれば、家族ぐるみでそれに取り組むことをお勧めします。家庭医は、家族ぐるみのかかりつけ医として予防医療を重視します。また当院は病状の悪化を防ぎ、より早く生活の場に復帰できるための入院機能を重視します。これまでに築き上げた当院の医療提供体制は、当面変わることは無いと思います。限られた医療資源を有効に活用するため、医療機関への適切な受診について、引き続き地域の皆様のご理解とご協力をお願いいたします。