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院長あいさつ


公立森町病院 院長 中村 昌樹

院長 中村 昌樹

 当院は、平成の大合併で単独の道を選択した、静岡県西部の中東遠医療圏に位置する森町が単独で運営する町立病院です。病床数は131床と小規模ですが、急性期病棟、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟の3つの病棟を機能別に分けて運営しています。また、病院に隣接して森町家庭医療センターを建設し、センター内に森町家庭医療クリニックと森町訪問看護ステーションを配置しています。また、同じセンター内に在宅医療支援室を設置し、在宅医療に関する情報を集約しています。そこに勤務する当院独自で育成している在宅医療コーディネーターが、医師の訪問診療を支援し、多職種連携の要としての役割を果たすことで、在宅医療に取り組む医師の負担軽減を図っています。
 平成22年に当院と磐田市立総合病院、菊川市立総合病院が共同で協議会を立ち上げ、開始した、静岡家庭医養成プログラムも、10年が経過しました。現在は、市立御前崎総合病院も加わり、浜松医大を基幹施設とした浜松医大総合診療プログラムに進化しています。また、中東遠総合医療センターでの専門領域研修も行っています。2次医療圏のすべての公立病院がこのプラグラムでつながったことは、地域医療連携が進むうえで大きな意義をもちます。このように大学と、地域の行政機関と公立病院が連携して運営していることが、このプログラムの特色と言えます。この間プログラム全体では17人、森町では9人の卒業生を、家庭医専門医として世に輩出しています。現在はプログラム全体で15名、森町では7名の専攻医が研修に励んでいます。卒業生の何人かは、森町家庭医療クリニックのスタッフとして残り、地域医療に貢献しています。以前は当院の医師が取り組んできた訪問診療も、現在は家庭医が主たる担い手となっています。当院は、そのバックアップとしての入院機能を担う方向で機能分化と連携が進んでいます。また、当院は、近隣の高度急性期機能を担う磐田市立総合病院と中東遠総合医療センターとの連携も強化してきました。当院と、家庭医療クリニックが地域包括ケアシステムの中心的役割を果たし、それをバックアップする2つの高度急性期病院と連携することで地域の医療ニーズに応えています。中東遠医療圏では、地域医療構想も順調に進んでいると言えます。これは、以前から公立病院同士が、互いに情報を共有し、顔の見える関係を構築してきたためです。
 家庭医が外来機能と在宅医療を担い、当院の科別総合医が敷居の低い入院機能や、急性期から生活の場につなぐ回復期医療を担うことで、「時々入院ほぼ在宅」を実現しています。現在、訪問診療対象患者の在宅死亡率は90%を超え、当院全体での在宅死亡率は40%を超えています。このことは、当院が近隣介護施設や行政、地域住民との連携システムを長い時間をかけて構築してきたためです。住民有志が立ち上げた「森町病院友の会」は、当院の様々な改革を進めるうえで大きな役割を果たしてきました。また病院ボランティア「かわせみ」も、長きにわたり当院の心強い応援団として活躍しています。
 当院は、以前は24時間365日救急受け入れを行ってきましたが、平成30年10月から深夜帯の救急制限を実現できたのも、当院をバックアップする2つの救命救急センターの協力だけでなく、地域住民の協力があってことのことだと思います。このことで、医師の働き方改革も大きく前進しました。
 家庭医が、日常の健康管理を行い、当院の科別総合医が生活圏における急性期医療と回復期医療を担い、高度急性期病院の医師が臓器別専門性を担う3階建ての医療提供体制が、現状では最も理想に近い形ではないかと考えています。それぞれの得意分野を活かし、互いに補完しあうことで医療は成り立ちます。また、医療、介護の専門職だけでなく、行政や地域住民それぞれが、やるべきことをやって地域が成り立ちます。自然豊かな森町は、人々の心も豊かです。このような地域で医療に携わることができ、私自身日々幸せを感じています。
 当院はこれまでさまざまな改革を行うことで、現在の形に到達することができました。今後も時代の変化に対応し、持続可能な医療の形を、地域とともに考え、未来に向かって歩んでいきたいと思います。

令和2年5月 公立森町病院 院長 中村 昌樹