院長あいさつ
公立森町病院 院長 中村 昌樹
院長 中村 昌樹
当院は、人口17799人(令和3年5月31日)の森町が単独で運営している公立病院です。3つの病棟を、急性期病棟、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟と機能別に分けて運営しています。隣接している森町家庭医療クリニックと連携し、現在は家庭医が在宅医療の主たる担い手になり、病院はそれをバックアップする入院機能を提供する方向で機能分化を進めています。
森町は、全国平均と比較して高齢化が進み、人生100年時代を実現している方も増えています。当院もこれまで、生活者を最期まで支える医療の選択肢として、在宅医療に取り組み、介護施設とも連携してきました。これまで多くの患者さんと関り、看取りも多く経験して思うことは、たとえ高齢になっても認知症になっても、一人一人の命は最期まで輝いているということです。家族にとっても大切な命です。人生の終末期になったからと言って、命の価値がすり減っていくものではありません。したがって、終末期医療とは、決して看取りそのものを主たる目的としたものではありません。緩和医療も含めて、輝き続ける命を最期まで支え続けるのが終末期医療です。在宅医療もまた、決してあきらめた医療ではありません。患者自身の意思を尊重し、生活者としての人生を最期まで支えるための選択肢の一つです。したがって、必要に応じて入院も含め、その他の実現可能な選択肢を提示し、患者自身に選択してもらわなければなりません。
入院とは、何らかの治療を目的として、生活の場そのものを病棟に移すことです。急性期病棟は、急性疾患や慢性疾患の急性増悪に対し病状を改善させることが目的です。地域包括ケア病棟は、比較的軽症の急性疾患患者の病状を安定させることや、急性期からの患者に対し、適切な生活指導やリハビリテーションを行い生活の場に繋ぐこと、あるいは在宅療養を続ける患者の一時的な避難の場を提供することなどが目的になります。回復期リハビリテーション病棟は、積極的なリハビリテーションを行うことで、機能回復を図ることが目的になります。いずれにしても、入院はあくまで一時的な生活の場であり、常にその人本来の生活の場に戻すという姿勢が必要です。ただし、とにかく退院させればよいということではなく、その後の生活が、安定して過ごせることが大切であり、そのための入院機能であるべきです。
当院は、3つの病棟機能を提供することで、多様な患者のニーズに応えることができるのが強みです。その強みを活かし、敷居の低い入院機能を提供することも、人生100年時代を支える中小病院の一つの形であると思います。
人は誰でもいつかは死を迎えます。死が間近に迫った状態では、どのような医療介入を行ったとしても病状を改善させることはできません。そのような状態では、緩和治療を主とした、いわゆるターミナルケアを行うことになります。しかしながら、ターミナルかどうかの判断は慎重でなければなりません。ターミナルの定義は明確なものはありませんが、どのような医療的介入を行っても、改善が不可能な状態で、積極的な医療介入がむしろ不適切であると思われる状態ということが一般的な解釈であると思われます。まずは、十分な評価を含め、適切な医療介入などのプロセスを経た上で、不可逆な病態であるかどうかを判断しなければなりません。そのために、何らかの訴えで受診した患者はまずは受け入れ、必要に応じて入院対応などを行うことも大切です。また、ターミナルというのは、ある時点から突然始まるものでもありません。治療が主たる時期からターミナル期は始まっている場合もあります。逆に言えば、ターミナル期になっても、治療的な介入が必要になることもあります。
医療は、それぞれの役割が連携してこそ機能します。病院という組織の力を活かすためには、連携こそがキーワードです。
今年の公立森町病院キャッチフレーズ、「今、やるべきことをやる」に向かって、職員一丸となって頑張っていきます。
令和3年6月 公立森町病院 院長 中村 昌樹
森町は、全国平均と比較して高齢化が進み、人生100年時代を実現している方も増えています。当院もこれまで、生活者を最期まで支える医療の選択肢として、在宅医療に取り組み、介護施設とも連携してきました。これまで多くの患者さんと関り、看取りも多く経験して思うことは、たとえ高齢になっても認知症になっても、一人一人の命は最期まで輝いているということです。家族にとっても大切な命です。人生の終末期になったからと言って、命の価値がすり減っていくものではありません。したがって、終末期医療とは、決して看取りそのものを主たる目的としたものではありません。緩和医療も含めて、輝き続ける命を最期まで支え続けるのが終末期医療です。在宅医療もまた、決してあきらめた医療ではありません。患者自身の意思を尊重し、生活者としての人生を最期まで支えるための選択肢の一つです。したがって、必要に応じて入院も含め、その他の実現可能な選択肢を提示し、患者自身に選択してもらわなければなりません。
入院とは、何らかの治療を目的として、生活の場そのものを病棟に移すことです。急性期病棟は、急性疾患や慢性疾患の急性増悪に対し病状を改善させることが目的です。地域包括ケア病棟は、比較的軽症の急性疾患患者の病状を安定させることや、急性期からの患者に対し、適切な生活指導やリハビリテーションを行い生活の場に繋ぐこと、あるいは在宅療養を続ける患者の一時的な避難の場を提供することなどが目的になります。回復期リハビリテーション病棟は、積極的なリハビリテーションを行うことで、機能回復を図ることが目的になります。いずれにしても、入院はあくまで一時的な生活の場であり、常にその人本来の生活の場に戻すという姿勢が必要です。ただし、とにかく退院させればよいということではなく、その後の生活が、安定して過ごせることが大切であり、そのための入院機能であるべきです。
当院は、3つの病棟機能を提供することで、多様な患者のニーズに応えることができるのが強みです。その強みを活かし、敷居の低い入院機能を提供することも、人生100年時代を支える中小病院の一つの形であると思います。
人は誰でもいつかは死を迎えます。死が間近に迫った状態では、どのような医療介入を行ったとしても病状を改善させることはできません。そのような状態では、緩和治療を主とした、いわゆるターミナルケアを行うことになります。しかしながら、ターミナルかどうかの判断は慎重でなければなりません。ターミナルの定義は明確なものはありませんが、どのような医療的介入を行っても、改善が不可能な状態で、積極的な医療介入がむしろ不適切であると思われる状態ということが一般的な解釈であると思われます。まずは、十分な評価を含め、適切な医療介入などのプロセスを経た上で、不可逆な病態であるかどうかを判断しなければなりません。そのために、何らかの訴えで受診した患者はまずは受け入れ、必要に応じて入院対応などを行うことも大切です。また、ターミナルというのは、ある時点から突然始まるものでもありません。治療が主たる時期からターミナル期は始まっている場合もあります。逆に言えば、ターミナル期になっても、治療的な介入が必要になることもあります。
医療は、それぞれの役割が連携してこそ機能します。病院という組織の力を活かすためには、連携こそがキーワードです。
今年の公立森町病院キャッチフレーズ、「今、やるべきことをやる」に向かって、職員一丸となって頑張っていきます。
令和3年6月 公立森町病院 院長 中村 昌樹